ハンドドリップの手引き
くろがね焙煎研究所式・豆の個性を引き出すレシピ
ハンドドリップは、お湯の温度・注ぎ方・時間によって、同じ豆でもまったく違う表情を見せてくれます。
ここでは、当研究所おすすめの基本レシピを2通りご紹介します。
使用器具はHARIO V60などの一般的な円錐ドリッパーを想定しています。
深煎り豆:しっかりコクのある、まろやかドリップ
おすすめ豆:ブレンドや中深煎り〜深煎りのシングルオリジン
豆量:15g
お湯の量:220ml
挽き目:中細挽き(好みで適宜調整)
湯温:90〜92℃
お湯の入れきり時間:2分前後
落ち切りの目安時間:3分前後
ブリューレシオの目安:粉1:お湯14〜15
※「ブリューレシオ」とは、コーヒー粉と注ぐお湯の比率のことを指します。
このレシピでは、粉15gに対してお湯220ml(粉1:お湯14〜15)を目安にしています。
【手順】
1. 器具を温める
ドリッパーとサーバーを湯通しして温めます。
2. 蒸らす
挽いたコーヒー粉15gを平らにセット。
最初の10秒で30〜40mlを注ぎ、合計30秒かけて蒸らします。
3. しっかり浸す
粉全体が浸かるように80〜90mlを注ぎ、約30秒滴下させます。
4. 数回に分けて注ぐ
中心から縁にかけて円を描くように注ぎます。
例:20秒ごとに40〜50mlずつ注ぐ。
※フィルターの縁付近に粉が残らないように、縁までしっかりお湯をかけます。
※注ぐスピードは「気持ちゆっくりめ」を意識すると、トロッとした舌触りとコクがしっかり引き出せます。
5. 入れ切って落ち切るのを待つ
お湯を2分前後で注ぎきり、そのまま自然に落ち切るまで待ちます。
※落ち切り時間は器具や挽き目で変動しますが、気にしすぎなくて大丈夫です。
浅煎り豆:華やかな果実感や香りを引き出す、クリーンなドリップ
おすすめ豆:エチオピア、ケニアなどの浅煎りシングルオリジン
豆量:15g
お湯の量:260ml
挽き目:細挽き(好みで適宜調整)
湯温:95〜97℃
お湯の入れきり時間:2分前後
落ち切りの目安時間:3分前後
※ブリューレシオの目安:粉1:お湯17〜18
【手順】
1. 器具を温める
ドリッパーとサーバーを湯通しして温めます。
2. 蒸らす
挽いたコーヒー粉15gを平らにセット。
最初の10秒で40ml程度を注ぎ、合計30〜35秒かけて全体を蒸らします。
3. しっかり浸す
粉全体がお湯に浸かるように、100mlを注ぎ、30秒程度滴下させます。
4. 数回に分けて注ぐ
中心から縁にかけて円を描くように注ぎます。
例:20秒ごとに40mlずつ注ぐイメージ。
※フィルターの縁付近に粉が残らないように、しっかり縁までお湯をかけます。
※粉が撹拌されるよう、少し高めの位置から注ぐのがコツです。
5. 入れ切って落ち切るのを待つ
規定量を2分前後で注ぎきり、落ち切るまで待ちます。
※落ち切り時間は器具や挽き目によって変わります。
Tips:味の調整について
・味の調整は、注湯温度・注湯量は変えず、挽き目で調整するのが基本です。
ブリューレシオを変えると過抽出/未抽出のばらつきが出やすく、味が安定しにくくなります。
・苦味・渋味が強いと感じたら → 挽き目を粗く。
・酸味が気になるときは → 挽き目を細かく。
甘みやまろやかさが引き立ちやすくなります。
初めて浅煎りを試す方へ
浅煎りが初めての方には、思い切って細かく挽き、高温のお湯での抽出をおすすめします。
果物や花のようなみずみずしい香りと甘みに、きっと驚かれるはずです。
また、温度が下がるにつれて香りが落ち着き、味わいが変化するのも浅煎りの大きな魅力。
一杯の中での「味の変化」そのものを楽しんでみてください。